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遺産相続や遺産分割のトラブルは、遺産の額が大きい家庭にしか起こらないと思われがちですが、遺産額が1000万円以下の家庭でも起きうる問題です。
相続人同士で遺産分割の方法に食い違いがあったり、長男だから遺産を多くもらえるはずという身勝手な考えだったり、正しい相続の知識がない家庭ほど争族トラブルに発展し、遺産分割がうまくいかないケースが多いです。
本ページでは、遺産相続や遺産分割に関わるトラブルで揉めないために、事前に相続人同士で話し合い、決定しておくべき内容をご紹介します。
■遺産相続・遺産分割のトラブルで以下のことでお悩みではないでしょうか?
1. 遺言書を残す際の注意点を教えてほしい
2. 家族以外の人にも財産を残したい
3. 亡くなった父の遺言書が複数でてきた
4. 会ったこともない親戚の債権者を名乗る会社から請求がきた
5. 父の身の回りの世話は全部自分がやったのに、兄弟と相続分が同じなのは納得がいかない
6. 遺産分割を行った後に、他にも財産があることが発覚した
7. 相続人の一人と音信不通なのだがどうすればよいか など
遺産をどの割合で相続し、誰がどの程度もらえるかは、民法である程度の基準が定められています。これは離婚の慰謝料などと違い、個別の事情によって割合が大きく変化することはありません。強制力のある決まりではありませんが、遺産相続でも大まかな基準を知っているかどうかで、お互いの主張に正当性があるかどうかを判断できます。
しかし、相手に知識がなければ自身の主張を押し通そうし、「泥沼化」していく恐れもありますので、説得力をもった交渉を行う意味でも、早い段階で弁護士に相談されるのが望ましいでしょう。
■遺産相続・遺産分割のトラブルでよくある疑問と解決方法
◆遺言書を残す際の注意点を教えてほしい
遺言書を残す方法には3つの種類があり、『自筆証書遺言』『秘密証書遺言』『公正証書遺言』のどの方法で残すかで注意点が変わってきます。
自筆証書遺言とは、もっともオーソドックスな遺言方法で、被相続人本人が、誰に、何の遺産を、どの割合で残すかを比較的自由に決められる遺言方法です。昔はその名の通り『自筆』で書くことが一つの条件でしたが、民法改正により2019年1月13日からPCを使って残すことが可能になりました。
ただ、遺言者自身の裁量によって残す為注意すべきポイントは多く
1. 録音・録画は不可
2. 日付・署名・押印がないと無効
3. 全ての財産を記した財産目録を用意すること
4. 相続人全員がわかること
5. 遺留分に配慮した遺産分割とすること
6. 遺贈・生前贈与の有無を明記すること
この6項目を厳守できない遺言では無効、またはトラブルになるケースはあります。また、被相続人が死亡した後に効果を発揮する以上、それまで相続人に知られないようにする傾向が多い為、誰に発見されない可能性や、遺言書の開封に裁判所の検認が必要になるなどの手間もあります。
●秘密証書遺言の場合
自筆証書遺言を公証人と証人2人以上に遺言書の「存在」の証明をしつつ、公証人、証人、相続人含め、本人以外は内容を見ることができないようにした遺言書のことを、秘密証書遺言と呼びます。
遺言書があることは公にできつつ、内容は見られないようにする方法のため、一見便利な方法かもしれませんが、自筆証書遺言があることを相続人に知らせておけばよいだけなので使い勝手が悪く、あまり利用されたことのない遺言方式です。
●公正証書遺言
遺言者が公証役場で遺言書を作る遺言書のことで、遺言の専門家である公証人と共同で作る為、無効になる可能性がなく、理にかなった遺言書を作ることができます。遺留分を侵害するケースもなく、最も安全性の高い遺言形式と言えます。遺言者本人が見落としていたこともカバーできるため、確実に遺言を残せる方法です。
◆家族以外の人にも財産を残したい
被相続人の遺産は基本的には相続人以外が受け取ることはできません。しかし、家族以外のお世話になった方に遺産を残したい場合、遺言書に書き残す『遺贈』か、被相続人の生前財産を渡しておく、贈与という形で残すことが可能です。
◆亡くなった父の遺言書が複数でてきた
遺言書が複数出てきた場合、まずは遺言書に記載された作成日の日付を確認しましょう。もし一方に日付が記載されていない遺言書があれば無効ですが、両方に日付が書かれていた場合、最新の日付が書かれた遺言書の内容に従うのが正です。ただし、最新の日付であっても、内容に不備があった場合、最新日付の遺言書は無効となり、先に書かれた古い遺言書に従うことになります。
◆会ったこともない親戚の債権者を名乗る会社から請求がきた
詐欺の可能性もありますが、被相続人の生前に借金をして亡くなった可能性もあります。もし連帯保証人などになっていた場合は事実確認をする必要がありますので、むやみに話を鵜呑みにせず、現状の確認をしましょう。もし多額の借金を残して亡くなった場合は、相続放棄という選択肢もありますので、早めに弁護士に相談しましょう。
◆父の身の回りの世話は全部自分がやったのに、兄弟と相続分が同じなのは納得がいかない
遺産分割は基本的に下記の割合で分割されます。
相続人の数 |
配偶者の法定相続分 |
配偶者のみの場合 |
財産の全て |
配偶者と第1順位の法定相続人 |
財産の1/2 |
配偶者と第2順位の法定相続人 |
財産の2/3 |
配偶者と第3順位の法定相続人 |
財産の3/4 |
第1順位:被相続人の子
第2順位:被相続人の父母
第3順位:被相続人の兄弟
被相続人の子である兄弟には長男・次男の優劣なく一様に扱うことになりますが、これはあくまで基準ですので、優劣をつけても構いません。生前、お父様の世話をしていたという事実があれば、『寄与分(民法第904条)』として、遺産を多くもらうことを主張することが可能です。
(寄与分)
第904条の2 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者
◆遺産分割を行った後に、他にも財産があることが発覚した
遺産分割の流れとして、相続人全員による遺産分割協議を行い、遺産の配分を決定していくことになりますが、遺産分割後に追加財産の存在が発覚したのであれば、遺産分割協議をもう一度、全員でやり直すことになります。
遺産分割協議を終了したのち、誰がどの財産をいくら相続するのかを決めたことを記す遺産分割協議書を作成するのが一般的ですが、あとから出てきた遺産の扱いもその協議書に記しておかないと、相続税発生時に面倒になりますので、必ず協議を行い、協議書にするようにしましょう。
◆相続人の一人と音信不通なのだがどうすればよいか
連絡がつかない相続人を無視し、遺産分割協議を進めることは原則できません。遺産分割協議書にも相続人全員の署名を残さなくてはいけない観点からも、以下の方法で相続人の行方を捜す必要があります。
1. 戸籍謄本を辿って現在の本籍地を調べる
2. 戸籍の附票を取得
3. 手紙を出して音信不通の解消を試みる
もしこの方法でも相続人が見つからない場合、『不在者財産管理人の選任申立』といって、行方がわからない相続人の代理に財産を管理する権限を持つ人を、家庭裁判所に選任申立をする必要があります。利害関係者を排除するという観点からも弁護士や司法書士に依頼がいくケースが多いです。
もし行方しれずの相続が、音信不通から何年も経過している場合、失踪宣告という死亡したことにする手続きも検討すべきでしょう。
■遺産相続・遺産分割のトラブルの解決を弁護士に相談するメリット
◆弁護士が間に入るだけで解決する場合がある
相続人間でもトラブルになるのは、法的見解や、正しい相続知識がない場合が多いです。弁護士という法律のプロが第三者として仲裁に入るだけで話し合いが進み、問題解決に至るケースも多いです。
◆見落としがちな相続問題も発見できる
知らないだけで損をするのが遺産相続です。遺産が全くなかった場合に使える『遺留分減殺請求権』や生前に被相続人の世話をしたことで相続割合が考慮される『寄与分』、相続人でなくとも財産が受け取れる『遺贈』など、そのまま相続手続きを進めていることで不公平な扱いを受けるケースは非常に多いです。
不公平を是正することを「特別受益」といいますが、相続に詳しい弁護士が間に入って交渉することで、正当な権利を主張できることは、多くあります。